こけしとは?

こけしとは?

こけしの種類こけし工人系図こけし工人

こけしの配置図

「こけし」は江戸時代後期から作られたと言われる伝統こけしの他に、それを元により自由な形態や描彩を求めて作られた全国の観光地や土産店などで見られる新型こけし、創作こけし等に分類され区別されております。
伝統こけしの産地は山間部・温泉地に多く、山で木材を挽き椀や盆を制作していた“木地師(きじし)”と呼ばれる人たちが、湯治場で販売する子供向けのお土産品として顔や模様を描いた木人形を作り始めたことが、こけし誕生のきっかけと言われています。
伝統こけしは12系統に分類されその全ての産地は東北にあり、それぞれ産地に見合った模様や技法で根付いて育ち、師匠から弟子に型を継承されていることで作り続けられ、その作り手は“伝統こけし工人(こうじん)”と呼ばれます。
青森県黒石市は12系統の中の1つ、津軽系こけしの産地です。

12系統の伝統こけし

津軽系こけし

津軽系Tsugaru

主な産地:青森県/温湯温泉、大鰐温泉

1本の木から作られる“作りつけ”という技法で作られるものが多く、髪型はオカッパ頭、形はくびれた胴、裾広がりの足元、模様はねぶた絵から影響を受けたと言われており、牡丹の花やダルマ絵などが多く、大鰐ではアヤメ模様なども。12系統の中でも比較的歴史が浅い分、多用な型、描彩、技術を元に出来上がった系統とされており、その分表現様式が多彩で様々な型や模様のものがある。
津軽のこけし工人はこちら

南部系こけし

南部系Nanbu

主な産地:岩手県/花巻市、盛岡市

通称「キナキナ」。頭がクラクラ動く。おしゃぶりから発展、無彩が多い。

木地山系こけし

木地山系Kijiyama

主な産地:秋田県/川連、湯沢市

らっきょう型の頭と太い銅。菊や着物、前垂れ模様が多い。

鳴子系こけし

鳴子系Naruko

主な産地:宮城県/鳴子温泉

首を回すとキュッキュッと鳴る。菊やなでしこ、楓の模様が多い。

作並系こけし

作並系Sakunami

主な産地:宮城県/作並温泉、仙台市

子供が握れるくらいの細い胴。蟹に似た通称「カニ菊」模様など。

遠刈田系こけし

遠刈田系Togatta

主な産地:宮城県/遠刈田温泉、秋保温泉

「手柄」と言われる頭に放射状の赤い髪飾り。重ね菊、梅、桜、木目柄の模様が多い。

弥治郎系こけし

弥治郎系Yajiro

主な産地:宮城県/白石市、鎌先温泉

頭はベレー帽のようなロクロ線模様。襟や裾付き、カラフルな色合い。

肘折系こけし

肘折系Hijiori

主な産地:山形県/肘折温泉

太い胴、重ね菊やなでしこ模様。小豆入り、振るとシャカシャカと鳴るものも。

山形系こけし

山形系Yamagata

主な産地:山形県/山形市

小さい頭、前と左右の髪の毛、細い胴、模様は桜や梅、紅花や牡丹模様なども。

蔵王高湯系こけし

蔵王高湯系Zaotakayu

主な産地:山形県/蔵王温泉

割れ鼻、重量感あるどっしりとした胴体、重ね菊や桜崩し、牡丹模様など。

土湯系こけし

土湯系Tsuchiyu

福島県/土湯温泉、飯坂温泉

「かせ」と呼ばれる赤い髪飾り、ロクロ線模様や独特の「返しロクロ」模様も。

中ノ沢系こけし

中ノ沢系Nakanosawa

福島県/猪苗代町、中ノ沢温泉

大きな目に赤いフチどり、通称「たこ坊主」、柄は牡丹の花や桜の花など。

津軽系こけし工人系図

こけし工人の系図

津軽系こけしの系図ダウンロード

語り継がれる津軽の名工

盛 秀太郎(1895〜1986年)

「ワァ死んだら、なんもいらねぇ。
ただこけしッコ並べてければ」

温湯温泉の木地師の家系に生まれ、大正時代よりこけしを作り始めた津軽系こけしの始祖。
裾が広く、くびれた胴に独特のアイヌ模様と呼ばれるカラクサ模様、ねぶたから取り入れたとされるダルマ絵や、津軽藩の家紋にも使われている牡丹の花模様などの作品が特徴で現代でも多くの津軽系工人達に受け継がれている。

盛 秀太郎

長谷川 辰雄 (1905年~1985年)

「理屈はわがらねェ。ただ、美しいと思った絵を描いているだけなんだ」

黒石市板留の木地師の家に生まれ、生まれてまもなく、大鰐町の長谷川家の養子となる。
その後、大鰐の嶋津彦作が経営する木工会社の職人として働き日常雑器を作る傍らこけしも製作する。絵の才能に恵まれ、描彩を得意とし、盛秀太郎とともに津軽 大鰐系のこけしの代表的工人として知られる。

佐藤 善二(1925〜1985年)

「名人、名工を夢見るな。いい職人になれ。人々に愛されるこけしを沢山作るのが、いい職人だ。」

西津軽郡森田村生まれ。木製土産品の生産が盛んな神奈川県小田原で轆轤技術を学び、その後、盛秀太郎に弟子入り。独立後は津軽こけしの普及のため積極的に全国各地を渡り歩きこけし製作実演を行う傍ら数多くの弟子を育成。厳しい反面、手も足もないのは不憫と、こけしの底に足を描く心優しい職人でもあった。

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